総務省の視点:自動運転とネットワーク鈴木 茂樹

②通信規格の世界的な標準化と、東南アジアでの日本のプレゼンス

2017.03.14

ITS(高度道路交通システム)専用周波数帯には760MHz帯を使っています。この帯域は無線通信としての使い勝手が良いと言われていて、遠くまで電波を届けやすいことと、載せられる情報量の多さとを両立しています。より高い周波数では直進性が高すぎてつながりにくくなり、低いと送れる情報量が少なくなることが知られています。

また、この周波数帯は、地上デジタル放送の普及に伴ってアナログテレビを廃止した際に出た空きスペースでもあります。テレビ用の周波数帯を3分の2に減らし、需要が増えていた携帯電話や、将来性の見込まれるITSのために割り当てました。

自動走行の実現に向けた総務省の取組(平成28年12月15日・総務省)より

自動走行の実現に向けた総務省の取組(平成28年12月15日・総務省)より

760MHz帯がITS専用周波数帯として実用化されているのは、今のところ日本だけですが、きちんとITU(国際電気通信連合:International Telecommunication Union)という国際的な標準化機関において、国際標準の一つの規格として認められています。

欧米先進国では760MHz帯は他の用途で使われているため、同じ規格でITSを作るのは難しいですが、アジアで仲間探しを進めており、いくつかの国が興味を持ってくれています。この周波数帯だけを使ってITSがすべて解決するわけではありませんが、ITSのためのいくつかの周波数帯のうちの一つの選択肢として、世界的なプレゼンスを十分高められると思っています。

総務審議官・鈴木茂樹
総務省新世代移動通信システム推進室長・中村裕治

②通信規格の世界的な標準化と、東南アジアでの日本のプレゼンス