遊動と移動の美学へ原 研哉

③オンとオフの融合

2017.06.06

僕は別荘を持ったことがありません。自分の自由になる家や庭を構想することは素晴らしいことです。だから自動運転なら、とふと考えてみましたが、所有や管理の煩雑さを考えると気が進みません。また、イタリア人やフランス人のように長いバカンスをとりたいと思ったこともありません。その代わり、気持ちのいいホテルや旅館をたくさん知って、そういう場所と自宅を自在に行き来しながら過ごしたいと思っています。仕事と休息は一対のものであり、いい仕事ができているという手応えは、最高のストレス発散です。だからオンとオフは日常の中で交錯していて、休みの日に休んで、仕事の日に働くという感じではないのです。

電気自動車 イラスト

道路を移動するなら、必要な大きさの自動運転車を選びたい。予約や支払いは当面はスマートフォンが便利でしょう。スタッフ数人と打ち合わせをしながらプレゼンテーションに向かうとか。足りない睡眠を補いつつ一人で大学に移動するとか。房総半島にあるホテルで集中して仕事をするために、企画書を書きつつ移動するとか。気の合う仲間とお酒を飲みながら温泉に移動するとか。あるいは静かに1日を反芻しつつ家路を急ぐとか。クルマの大きさや仕様が、これらの条件に合わせて変えられるととても助かると思います。

③オンとオフの融合